「たて花」とは日本の伝統文化の一つ「いけばな」の源流ともいうべき花形で、室町時代に仏教から発祥しました。現在では、生ける花とは別に立てる花の立花(りっか)として形は残っていますが、当時の、神仏に奉る花としてのたて花は長い間忘れ去られた存在でした。
昭和・平成を代表する花人、故・岡田幸三師が昭和27年頃から着手され、古典花道研究の賜として室町の「たて花」が現代に蘇りました。花瓶に藁を入れて、真直ぐな心を神仏に奉る花姿は、昔の花形でありながら新鮮な感動を呼び起こしてくれます。そして心を大切にすることを見直すべき今の時代にぴったりの花形だと思えます。
室町の花人が世の平和を願い、本来あるべき精神を自然から学び育んできた、たて花。古典の花と親しむことで、自然の摂理や真理を少しでも意識できる機会となれば幸いです。
お稽古内容の一部
●花瓶に入れる「込み藁」作り・・・剣山を使わず、束ねた藁を花瓶に入れて草木を立てていきます。
●花形の役枝を学ぶ・・・人の世界にもそれぞれの役割があるようにたて花にも役枝があります。
●役枝の意味を学ぶ・・・役枝がそれぞれの役割を果たし助け合うことで一瓶に調和が生まれます。
●真・行・草を学ぶ・・・花器、花形、それぞれの草木にも真行草があることを学びます。
●なによりも草木と親しみ楽しみながら花を学びます。 |